第95話 妻の疑問
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。
今日は、2018年8月の日記を読み返してみました。
2018年8月3日(金)の日記
・7月15日に退院してから19日目。
・ママから「わたし、退院してから元気になっているのかしら?」と聞かれた。間違いなく元気になっていると思う。ゆっくりではあるが確実に良くなっている。
・この様な質問をするのは、もっと速いスピードで回復するのだと思っていたのに、変化が少ないので不安を抱いているのかもしれない。
・不安を解消できる様に寄添っていこうと思う。
〈2018年の8月〉
腸に4本のステントを留置したことで、腹膜内の腫瘍を刺激せずに腸閉塞の状態を取り除くことができました。しかし腸内に便を溜める働きが低下して自分の意志で排便することが困難な状態になりました。私たちの日々の暮らし方は変わりました。変化した生活が私たちにとっての “普通の生活” と思う様にして暮らす努力をしました。
オムツを購入したり介護ベットをレンタルしたりして過ごす8月でした。
妻のことを心配して息子や娘が我が家を訪ねてくれました。妻は喜んでいました。息子からタブレットをプレゼントされラインをしたり映画を見たり、楽しみを増やすことができたのではないでしょうか。
また16日に息子夫婦に子供が生まれました。私たち夫婦にとっては、とってもうれしい出来事でした。
〈緩和ケア病院の面談〉
私たちの住む街には、緩和ケア病院が4つあります。以前のことですが、参加していた患者会から教えていただき合同見学会に参加したことがありました。私は妻が選んだその中のひとつの病院に、この8月に面談と申込みに行きました。
妻は自分の病状の回復を疑問に思い、どう変化していくのか不安を感じていたのだと思います。そして、どういう治療をしたら良いのかを考えていたのだと思います。
妻は私に迷惑をかけたくないと考えていた様ですが、私は何一つ迷惑だと感じたことはなく、少しでも長く一緒に暮らしたいと思い行動しているつもりでした。しかし、私の言動が妻の心の負担になっていたのかもしれません。
この頃の妻の気持ちを思い出すと心が苦しくなります。病気の妻に余計な気遣いをさせたことを当時も今も猛省しています。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記/第96話は
〈幸せは感じるもの〉
を2022年7月23日(土)を予定しています。