がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第71話 大腸カメラ検査

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2016年8月の日記を読み返してみました。

 

2016年8月20日(土)の日記

・大腸カメラ検査の結果を聞くためにJ大付属練馬病を訪ねた。生体検査の結果は、がんの所見はないとのこと。腸管が1cm位になっているため、便の太さが細めになっているとのこと。
・次回(9月25日以降)、どのくらいの区間で腸管が細くなっているかを確認する検査を行うこととなった。
人工肛門の話にはならず一安心。

青空のひこうき雲(上野不忍の池)


〈2016年の8月

腹膜播種で腹膜内の腫瘍が少しずつですが肥大し、腸を外側から圧迫し始めていたのだと思います。それで便が細くなっていたのでしょう。発熱も炎症が起きていたことが影響していたのだと思います。
8月20日の日記をご覧いただきましたが、翌日の21日のページでは、ふたりで畑に出てキャベツとブロッコリーとスティックセニョールの苗を植えたと書かれています。妻は引出しをいくつも持っていて、決して一つの引出しの出来事に振り回されない人だったと思います。妻は「がん患者という引出し」を持ったおかげで体調のすぐれない日が多いのに、二人の子供の「母親という引出し」や厄介な夫の「妻という引出し」や介護が必要な両親の「娘という引出し」。この他には、大好きな「お料理という引出し」や趣味として始めた「畑作業という引出し」などをもち、上手に開けたり閉めたりしていました。私は「嫌だと思う引出し」の事に気持ちを占領されて、下を向いてしまうタイプの人間です。妻はとても素晴らしい人だと思います。

〈幸せはどこに

妻の病気と人柄については、この「がん患者の家族日記」でお伝えしてきました。
主治医のM医師ともう一人の主治医のO医師のお二人は、腹膜播種やステージⅣだからと言って “余命” について口にすることはなく、痛みを軽減させながら共存する治療を続けてくれました。病気だけでなく人間を診てくれる名医だと思います。

この頃の日記を読み返して思うことがあります。幸せとは何なのか。人は時々「幸せになりたい」などと口にすることがあります。もしかしたら「幸せは、いつかなるもの」ではなくて「幸せは、いま感じるもの」ではないかと・・・

自己中心で仕事優先な人間の私は、子供達より妻に苦労と心配をかけたと思います。
相変わらずの自己中心発言ですが、「たくさん幸せを感じた人生だったよ」と妻が思ってくれていたらいいなぁ・・・と思っています。

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記/第72話は

 〈誕生日の贈り物〉

を2022年4月30日(土)を予定しています。