がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第94話 妻の退院

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2018年7月の日記を読み返してみました。

 

2018年7月15日(日)の日記

・ママが退院した。大腸の閉塞は解消することができて良かった。しかし、発熱と排便障害という課題は残った。腫瘍の存在は変わらない。
人工肛門の装着は開腹が必要で、開腹は腫瘍が増えるリスクがあった。
・ステント4本の留置は、便を留めたり出したりする働きを低下させてしまった。
・生活の質は低下するが、命があることに感謝だ。

退院前日の畑のトマト




〈2018年の7

妻は20日間の入院生活を送り真夏の日曜日に退院しました。この間に2度、ステントを留置する手術を受けました。人工肛門も考えたのですが、開腹せずに腸の閉塞を取り除く効果を期待してステントの留置治療を選びました。

1回目の手術で1カ所に2本。留置後の状況から判断して更に2カ所に1本づつ。合計で3カ所に4本のステントを留置しました。排泄物が通るスペースは確保できましたが腸の働きのひとつである便を留める働きができない部分が4カ所できたことになり、自分の意志による排便が困難になりました。

自分の意志で “口から食べる” ことができて、自分の意志で “肛門から出す” という行為は「あたりまえ」の出来事ではなくて「ありがたい」出来事なのだと思います。

命があることに感謝して、自宅での生活が始まりました。

訪問看護と訪問診療

退院してからの生活パターンは変化しました。寝床は2階から1階になりました。週に3回はH訪問看護ステーションの看護師さんが来てくれました。2週に1回はN診療所のT先生が往診にきてくれました。H訪問看護ステーションとT先生は、妻が参加していた患者会の関係者で当時から信頼していました。J大付属練馬病院のM先生の経過観察は継続され、看護師さんとT先生とM先生は連携してくれました。

妻は自分自身で支えてくれる人々と出会っていたのです。素晴らしいと思います。

                               

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記/第95話は

 〈妻の疑問〉

を2022年7月20日(水)を予定しています。