第74話 迷いと望み
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。
今日は、2016年11月の日記を読み返してみました。
2016年11月19日(土)の日記
・J大付属練馬病院でCT検査の結果を聞いた。
①骨盤底の腫瘍は、7月と変わらず6.9cm。
②子宮体部左にも3.7cmほどの腫瘍が認められる。
③リンパ節へ転移。
多発腹膜播種、傍大動脈リンパ節転移
・今後の対策を落ち着いて考えよう。まずは今日の結果をしっかり理解することだ。そして何を基準委今後の方針を決めるのか。
1)新たな播種の発生を防ぐこと。
2)今ある播種による腫瘍をなくすこと。
3)肥大させずに現状を維持すること。
4)症状を緩和すること。
・これらのことを考えよう。
〈2016年の11月〉
11月19日に主治医のM医師から播種が広がっている事実を聞かされました。良くない結果を聞いた帰りの車の中では、地球の重力がいつもの2~3倍に感じました。患者本人である妻は、検査結果と体調は連動して現れます。こんな時こそ患者家族である私がしっかりとしなければならないと思っていました。
まずは検査結果の内容を正しく理解することに努めました。それから、これから先どの様になりたいかを整理し、そのためには何をやれば良いのかを考えました。
病気や検査や治療など、病気に関する勉強をしました。専門知識を持つ人に相談もしました。さらに、生きることや老いること、病むことや死ぬことなど、とても難しいことについても本を読み勉強をしました。
〈温故知新〉
穏やかな時間を感じながら一本道を進んでいると、右へ行く道と左へ行く道の岐路が出てきます。どちらに行けば良いのか迷います。そして考え抜いて選んだ道へ進みます。この繰り返しです。大切なことは、考え抜いて選んだ道へ進んだら、もう一方の道に行っていれば良かったのに・・・と考えないことです。進んだ方の道を歩きながら掲げた望みに向かうのが良いのではと考えるようになりました。
大河ドラマを見て歴史に興味を抱きはじめた妻と、11月5日に上田城へ行きました。そこで出会った真田幸村の言葉です。
「望みを捨てぬ者にのみ、道は開ける」
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記/第75話は
〈患者家族の病気〉
を2022年5月11日(水)を予定しています。