がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第50話 がんが消えた夢

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2014年11月の日記を読み返してみました。

 

2014年11月16日(日)の日記

・ママがお腹の中からガンが消えてしまった夢を見たと話してくれた。この夢を見たのは2回目だそうだ。すばらしい夢である。

・昨日はママとふたりで「加山雄三コンサート」へ行き、今夜はふたりで「軍師官兵衛」を見た。実に面白い。歴史から学ぶことは多い。

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二人で訪ねた姫路城(官兵衛の居城)




〈2014年の11月

11月の日記や写真を振り返ると、何度も訪れている玉川温泉、77歳(当時)になる加山雄三さんのコンサート、大河ドラマの舞台となった姫路城や書写山大阪城や京都を訪ねていました。妻の名前には“桂”という文字がありますが、京都の桂川に架かる渡月橋のあたりで「私の名前の桂は、桂川の桂からつけたらしいよ」と聞いたように思います。

日々の暮らしは、学校の話や恋話に花が咲く “おでんパーティー” を家族で楽しんだり、妻は高校時代の友達と一緒に同級生の開催する「写真展」に行ったりして過ごしていました。病院での定期検査の結果も順調でしたし、楽しいイベントが続いていました。

11月16日の日記に書かれているように、腹膜播種の妻は “ガンが消えた夢” を見たそうです。私が仕事に行ったり子供たちが学校に行っている時は、妻はいろいろな事を考えたり不安に感じたりしたことと思います。しかし、家族と一緒にいる時は「ケセラセラよ」などと言って、身体は不調でも心は健やかに過ごす人でした。

〈夜見る夢と昼みる夢〉 

夢には2種類あると思います。(夢についての知識など全くない “私個人の考え方・感じ方” ですが・・・)
一つは、夜に布団の中で “寝ている時に見る夢” です。もう一つは、昼の活動の中で “起きている時にみる夢” です。

夜見る夢は、心の中にある “現在の心” を見ているのではないでしょうか。この頃の妻の心の状態は、きっと穏やかだったのではないかと思います。
昼みる夢は、心の中にある “将来への希望” を見ているのではないでしょうか。なるようにしかならないけれど、その時にできることを精一杯やろうと考えて、毎日の暮らしをとても大切に過ごしていた妻を思い出します。

そんな妻の生き方を見習って、私も精一杯に生き抜いて、再会したいと思っています。

トキメキを感じるような “昼みる夢” を抱き行動を続けていきたいと思います。そうすれば “夜見る夢” も楽しいトキメキを感じられるものになるでしょうから・・・

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈実家の母〉

を2022年2月16日(水)に予定しています。