がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第58話 不のない瞬間

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2015年7月の日記を読み返してみました。

 

2015年7月28日(火)の日記

・人の生死はわからない。新聞に府中の飛行場で墜落事故があり、一週間前に引越をしてきた人が亡くなってしまったという記事が載っていた。また、紫陽花をイノシシから守るために設置した電線が川の水に触れ、水に触れた人が感電死したという記事も載っていた。  
・病気で死線をさまよう人がいる。元気な人が突然亡くなることがある。
・過去も未来も今にある。毎日を、瞬間を、大切に生きたい。

f:id:friendly2019:20220312095641j:plain

何度も訪ねた秋谷海岸(立石公園)

〈2015年の7月

7月3日の日記に “もう一人の主治医” であるO先生の診察を受けたことが書かれていました。そこには「時々とても不安な気持ちになる」と妻が答えるのを聞いて、そのことに気づけなかった自分を反省している内容が書かれていました。
これ以外にも、大腸がんの鳥越俊太郎氏の講演を聞きに出かけたことや、私の出勤時に妻も自宅近くに散歩へ出かけるようになったことが記されていました。
肝臓の手術を終えて迎える初めての夏は、妻のことに限らず会社や社会の出来事に不安や不満や不幸を感じている記載が目につく日記でした。

肝臓の手術を終えて安堵したものの、骨盤底付近の小さな腹膜播種のことを不安に感じて過ごす日々が始まりました。

〈不ありと不なし〉 
コロナが落ち着かないなか、10万人の方が犠牲となった東京大空襲から77年を迎えたことや1.6万人の方が亡くなった東日本大震災から11年を迎えた記事が、ここ数日の新聞に掲載されていました。さらに今起きている戦争の記事も掲載されています。
日々の暮らしの中で「幸せ・安心・満足」などの言葉は、心を穏やかにしてくれます。この言葉に「不」がつくと厄介です。「不幸・不安・不満」に変身します。

どのように日々を過ごせば “不なし” の日々が送れるのでしょうか。恐らく、同じ様な厄介な出来事に直面したときに、“不あり” と感じる人がたくさんいる一方で “不なし” と感じることのできる人もいるのだと思います。

物の本によると『吾れ唯だ足るを知る』がキーワードだと教えてくれています。理解はしていますが、そのように行動できていないのが私です。反省と精進を続けます。

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈想像する力〉

を2022年3月16日(水)に予定しています。