がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第56話 3度目の手術

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2015年5月の日記を読み返してみました。

 

2015年5月8日(金)の日記

・午前9時、家族に見送られて手術室に入る。看護師さんと穏やかな顔で話をする姿が、まるで映画のワンシーンの様だ。
・ママは人間ができている。そう何度も思ったけれど、今もそう思う。
・予定より短い時間で手術は終了した。臓器同士の癒着が少なかったとのこと。開腹しても何もできずに閉腹したのかと思い心配してしまった。
・肝臓の腫瘍の切除は成功した。直腸への播種はなく肛門は温存できた。骨盤底付近の播種は、大変小さなものが数個確認できたが、これは今後の課題である。
・ひとまずは少しだけ安心できて良かった。

 

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5月末に収穫した畑の野菜



〈2015年の5月

手術日までの夫婦の散歩は、自宅近くの城山神社に寄ることが多かった様に思います。柳瀬川沿いの小さな城跡にある神社の境内で、自分たちの住む街を眺めながらO三敬病院で教えてもらった気功をやって手術の無事をお祈りするのが日課でした。

手術前日の5月7日にJ大付属練馬病院に入院しました。午後になると娘が「母の日」だからと言って花を持って来ました。夜になると仕事を終えた息子が訪ねてきました。家族でひと時を過ごしながら、明日の手術の無事を祈りました。

退院後は少しづつ元気を取り戻し、月末には車に乗って畑に行き収穫をしました。

〈がんは個性的〉 
標準治療があるおかげで日本全国で同水準の治療を受けることができ安心です。がんという病気は、例えば “大腸がん” という同じ病名であっても、ひとり一人の状況は異なることのある “個性的な要素” を持った病気だと思います。標準治療を基盤に患者の病状や環境などを加味した治療を進めるのが良いのではと思います。そして大切なことは、患者本人の気持ち・意思を尊重するということだと思います。

手術から9日後の17日(日)に退院しました。腹膜播種への課題は残りましたが、肝臓の腫瘍を取り除くことができたことに感謝しました。

会社からの帰宅時に “明かるく灯る台所” を見て、幸せを感じる日々が戻りました。

ありがとうございます。

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈3回目の術後診察〉

を2022年3月9日(水)に予定しています。