がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第54話 肝臓への転移

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2015年3月の日記を読み返してみました。

 

2015年3月17日(火)の日記

・J大付属練馬病院で、追加して実施した検査の結果を聞いた。
・肝臓への転移とのこと。5月8日(金)に3度目の手術をすることになった。
・転移の心配をしてきた “迷い” が “転移” となった今、家族全員で力をあわせ乗り越えることに集中しようと思う。
・転移なしの結果が希望だったが、転移ありという現実を受け入れて、家族で乗り越えることが次の希望だ。
・一日一日、ひと時ひと時を大切に過ごしたい。

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ろう梅がきれいな宝登山秩父市

〈2015年の3月
2010年に大腸がんと言われた時、2012年に卵巣への転移を言われた時、そして肝臓への転移を言われたこの時に共通していたことがあります。私の身体はひとつしかないのですが、心の中のにはふたりの私がいたことです。ひとり目の私は、頭の中は真っ白になり「いま自分はどうしたら良いんだ」という不安と迷いだらけの私です。もうひとりの私は妻や家族に対して「心配ご無用。必ず良い結果につながる」と強気を見せる私です。

本当は度胸もなく人一倍心配性の私は、心の中ではオロオロしている前者の “ひとり目の私” であることが多かったと思います。しかし妻や家族と一緒の時には、口にしたことが現実になると信じて後者の “もう一人の私” を見せることに必死でした。

〈がん患者の家族の基本〉 
がんの治療をはじめ日常生活においても、自分の考えを持ち自分の意志で行動し、行動の結果を他者のせいにすることのない妻でした。とても穏やかでいつも優しい笑顔の多い妻の人柄は、ふたりの子供たちに受け継がれていたようです。

薬剤師資格の取得を目指す息子と就職活動をする娘は、自分自身のことは自分で考えて行動していました。そして妻のことをしっかりサポートして過ごしていました。私は子供たちに何でも相談しました。しっかりとした意見が返ってきて驚いたり感心したりすることが何度もありました。

この頃から我が家にはたくさんの出来事がありましたが、患者本人である妻を中心にたくさんの人でチームが出来上がり困難を乗り越えられたのだと思います。

『ひとりで頑張らないで、まわりの人に語り、そして力を借りる』

これが、私が学んだ「がん患者家族の基本」です。

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈骨盤底にも転移〉

を2022年3月2日(水)に予定しています。