第80話 肝臓手術から2年
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。
今日は、2017年5月の日記を読み返してみました。
2017年5月9日(火)の日記
・肝臓に転移したがんの手術から今日で丸2年だ。
・ママは本当によく頑張りました。素晴らしい。えらい。そして支えてくれたM先生とO先生。患者会、がんカフェ、ふらっとカフェ、がんサポート、生きの力、畑の仲間、ご近所の皆さん。たくさんの方々に支えられて今日があるのだと思う。
・ありがとうございます。そして、これからもず~っと、よろしくお願いします。
〈2017年の5月〉
2015年の5月9日に実施した肝臓に転移したがんの切除手術から2年を迎えることができました。肝臓にあった腫瘍は摘出できましたが、腹膜内に播種した腫瘍は摘出できないまま過ごした2年間でした。この間、陽子線・樹状細胞・漢方薬・丸山ワクチン・太極拳などの先進医療や代替療法を主治医と相談しながら実施していました。
5月14日の母の日に、結婚した息子がプレゼントを届けてくれました。お嫁さんが選んでくれた品です。妻はとても喜んでいました。同時に自分の母親のことを想い出し涙を流していました。自分の病気で心配をかけていると思ったのではないでしょうか。
〈今日一日の時間〉
がんとの共存生活で、心の中に変化がありました。聞いたり見たりする言葉に “人生” とか “一生” があります。生まれてから亡くなるまでの期間や内容を意味しています。人により長さも内容も違います。何かの本に「良い人生とは長さではなく内容である」とありました。自分で生きる期間を決めることはできませんが、自分で内容を変えることはできると思います。
今日という一日 を、身体も心も健やかに過ごすことが「人生」とか「一生」を良い内容にしていくのだと思う様になりました。もっと言うと “今という瞬間” をどう過ごすかだと思います。トキメキの瞬間を増やすということです。
妻は一生懸命に毎日を過ごしました。トキメキを感じながら、健やかに毎日を過ごしていたと思います。私もそんな妻の真似をして過ごしたいと思っています。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記/第81話は
〈聞くことの難しさ〉
を2022年6月1日(水)を予定しています。