がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第27話 著名人のがん報道

〈がん患者の家族の体験記〉

2021年11月17日です。今日は、2012年12月を振り返ってみました。

このBLOGは、2010年~2019年までの9年間、横行結腸がん・卵巣転移・腹膜播種・肝臓転移・腸閉塞でも前向きに生き抜いた妻と家族の日記です。

その当時に書いた日記を読み返しながら、患者家族の当時の気持ちを書いてみました。

 

2012年12月8日(土)の日記

・布団干し、掃除、窓ふき、クリスマスの飾りつけなどを行った。家にあるものを使って窓の下に小さなツリーを置き、室内の飾りつけをした。

・午後3時過ぎにママの病院に着いた。身体が少しだるい様だが明るい笑顔を見せてくれた。

・帰り際、病院前の横断歩道を渡り終えた時に振り返って病室を見上げると、夕暮れの中こちらを見送ってくれていた。手を振りあう二人・・・
我ながら映画のワンシーンの様だった。

 

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飾ることで感じる幸せ

〈2012年の12月

12月7日(金)から3回目の抗がん剤治療のために、妻は入院しました。回数を重ねるごとに副作用の辛さは増していたのだと思います。しかし辛いとか苦しいとかの言葉を口にしませんでした。いつも優しくニコニコしていました。そんな妻が無口でいるときは、相当に辛い思いをしていたのだと思います。
12月頃の私たちの会話ですが、妻は「抗がん剤、効いてるといいね」と言い、私は「効いているよ」と言っていました。そんなことが当時の日記に書かれています。

〈歌舞伎役者さんの死〉 

3回目の抗がん剤治療が終了して帰宅した妻を楽しませたくて、家の掃除をしてクリスマスツリーなどの飾りつけをしました。空間にはパワーがあるのではと思います。光や飾りつけ、そこにいる人、流れる音や漂う香りなどによって、その場にいる人々の免疫力をあげるのだと思います。私の気まぐれな飾りつけではなく、妻の人柄と子供たちの存在のおかげで、この12月も我が家は穏やかな雰囲気に包まれていた様に思います。

それでも困った雰囲気になることが時々ありました。
テレビから突然流れる “有名な方々の逝去を知らせるニュース” です。ちょうどこの12月は、中村勘三郎さんが亡くなったニュースが流れました。また、時期は異なりますが、女優さんや俳優さん、スポーツ選手の方々が “がんになりました” とか “がんで亡くなりました” という報道が流れる時があります。これらの報道は、当然ですが突然流れます。そして、場合によっては繰り返し放送されることも少なくありません。

この様な時は、ご冥福を祈ることはもちろんですが、他人ごとではないため、困惑することもありました。そして、そういう時は夫婦や家族が一緒になって、空間の雰囲気を変える努力をしたように記憶しています。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

 次回の家族日記は
 〈もう一人の主治医〉

を11月22日(月)に予定しています。