がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第48話 畑から学ぶこと

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2014年9月の日記を読み返してみました。

 

2014年9月7日(日)の日記

・畑の勉強会に参加した。「根には根の役目、茎には茎の役目、葉には葉の役目があり、それぞれがその役目を果たすことで、花は咲き作物はできる」という園主さんの話に感動する。
・以前から少しだけ気になっていた「Ia CASA」というカフェでランチを楽しんだ。元々は材木屋さんで、家のデザインもやっている素敵な雰囲気のカフェだった。

  ※畑の勉強会:我が家が参加している「体験農園」主催の勉強会のこと。

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頑張って成長している作物


〈2014年の9月

我が家から歩いて10分位のところに「体験型の農園」があり参加していました。1区画30㎡(3m×10m)の農地をお借りして70世帯の方々が野菜づくりを楽しんでいました。種や苗・道具などをすべて用意してくれる、ありがたい農園です。

さらに、80歳を超えるベテラン園主さんが、土の耕し方・種や苗の植え方・水のやり方・肥料のやり方・収穫のタイミングや方法などを教えてくれます。

同じ種や苗で、同じ道具を使い、同じ教えの元に農作業をするのですが、他の方が育てた作物と出来栄えは違います。農業の奥深さを体験することができました。9月7日の日記には、勉強会での園主さんの言葉が書かれていますが、日々の農作業中にも随分とたくさんのことを教えていただきました。

〈頑張っているのは作物〉 

私たち夫婦が収穫作業をしていたある日、園主さんが様子を見に来てくれました。あまり出来栄えが良くなかったので、私は園主さんに「今年は頑張ったんですけど、出来栄えは今一つでした」と言うと、こんな言葉が返ってきました。

ニコニコとしながら「頑張ったのは作物たちだよ。人は、土を耕したり、水をやったり、雑草や虫を取り除いたりして、作物が頑張れる環境を作っているだけなんだ。その作業の内容次第で、作物の出来栄えは決まるんだよ。作物たちは、与えられた環境で十分に頑張ったよ」とのお話でした。作物の出来栄えが今一つだったのは、作物が成長するための環境づくりが不十分だったということであり、大いに反省しました。

大根や人参が二股になるのは耕し方が不足したことが原因であるとか、水は「水やり3年」と言われるくらい気をつけなければいけない難しい作業であるとか、肥料はタイミングと量を過不足ない程度に与えるなど、たくさんのことを教わりました。

そして園主さんの教えは、農作業に限ったことではないことだと思いました。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈手白沢温泉の旅〉

を2022年2月9日(水)に予定しています。