がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第47話 長野旅行

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2014年8月の日記を読み返してみました。

 

2014年8月12日(火)の日記

・家族の旅 4日目。
・久しぶりのテント宿泊だったが楽しかった。朝4時頃から雨が降り出し、弱まるのを待ってかたずけをした。
・今日も天気が悪いので乗鞍岳はあきらめ松本城へ向かった。大変な混雑で入城まで1時間待ちとのことで、お城を一周して小諸へ向かった。
高峰温泉野天風呂は曇り空で視界は悪かったが最高の風呂だった。

  ※ 家族の旅:車で長野へ行った家族旅行のこと。(8月9日~13日)

 

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高峰温泉野天風呂

〈2014年の8月

2日の欄には、卵巣に転移した腫瘍の摘出手術から2年目を迎えたことへの感謝の気持ちが書かれていました。16日の欄には、朝から夫婦で、キャベツ・ブロッコリー・スティックセニョール・カリフラワー・人参の畑作業をして、昼食は冷や麦を食べ、昼間からワインを飲んだことなど、8月の日記は楽しい内容があふれていました。

その中でも、運転免許を取得した娘の練習を兼ねた “長野旅行” の様子がたくさん書かれていました。日記を読み返し写真を見直すことで思い出されることがいくつもあり、それらの地をもう一度訪問したいと思っています。
清泉寮野辺山高原・グレイスホテル・国立天文台・休暇村乗鞍高原・牛留池・松本城高峰温泉鏡池・小諸・湯ノ丸高原・コマクサ峠などの文字を見ることができます。再訪することで、もっといろいろな事を思い出すことだと思います。

 

〈記憶を呼び戻す記録〉 

最近は心当たりがないのに体調に変化が現われたりします。心配になって病院に行くと “老化ですので経過を見ましょう” ということになります。このような体験は、これまでは他人事でした。それが自分に起きるようになったのです。

もの忘れもその一つです。日常生活でのもの忘れに加え、自分の過ごしてきた過去の出来事についても、時の経過に合わせて記憶が薄れてきています。
妻を亡くした1年後に定年を迎えました。その後に、この「がん患者の家族日記」を開始しました。2021年の6月に第1話を掲載して今日で第47話、7ヶ月が経過しました。この掲載のおかげで消えたり薄れたりしていた “記憶” ですが、日記帳に書いた文字やアルバムに保管した写真などの “記録” をあらためて読んだり見たりすることで、いくつかの記憶が戻りました。そして、わかったことがあります。

私には “幸せを感じる瞬間がたくさんあった” ということです。
そして、写真に写っている妻は笑顔だらけです。きっと妻も “幸せを感じる瞬間のたくさんあった人生” だったのだと思います。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈畑から学ぶこと〉

を2022年2月5日(土)に予定しています。