がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第38話 玉川温泉の旅

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、横行結腸がん・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、8年前の2013年11月の日記を読み返してみました。

 

2013年11月2日(土)の日記

・新幹線で秋田県玉川温泉に行った。
田沢湖駅構内のバス案内所の女性が親切に案内してくれて、予定外で田沢湖に立ち寄り遊覧船に乗った。湖上から見る紅葉はとてもきれいだった。
玉川温泉の湯治宿から少し離れたところにある岩盤浴はとても暖かく気持ちが良かった。親切なご夫婦が色々と教えてくれた。福島の方でご主人は肺がん、奥さんは脳梗塞とのこと。

  ※ 玉川温泉:宿泊者は “がん” をはじめとする様々な病気を抱えている方が多い。

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大自然岩盤浴へ続く歩道

〈2013年の11月

この頃の私たち夫婦は、O三敬病院の「患者の会」にも参加していました。そこに参加している方から、秋田県にある玉川温泉岩盤浴のお話を伺い訪ねてみました。
科学的な効能の有無についてはわかりませんが、大自然の中の岩盤浴と強酸性の温泉は体感した分だけ回復する様な気持ちになったことは確かでした。さらに良かったことは、ここには一生懸命に生きる “がん患者” の方々が、全国から集まっていたことです。

食堂や居間や洗面所などで何度も顔を合わせているうちに会話が始まります。その会話から希望を受取ることは何度もありました。もしかしたら、時には希望を渡したこともあったかもしれません。心が少しだけ暖かさで包まれた様な気がしました。

帰る時に次回の予約をすると良いということを教わり実行しました。リンゴをお裾分けしてくれた福島のご夫婦と帳場で一緒になりました。次回の予約日が同じ頃になったのですが「では、またお逢いしましょう」の言葉が、とても重いのです。一期一会という言葉がありますが、ここではこの言葉の重さを心から感じました。次回、予定通りにこの地を訪ねることができる保証など、お互いにないからです。

 

〈第1話~第37話を振り返って〉 

今年(2021年)6月に「がん患者の家族日記」を始め、今日で今年のUPは終了となります。お読みいただきありがとうございました。2022年は1月5日から再開して、9月の最終回に向かいたいと思っています。引き続きよろしくお願いします。

息子にサポートしてもらい、人生初のblogに挑戦しました。2004年8月27日に書き始めた日記です。いま2010年からの9年間を読み返すことで、思い出されることがたくさんあります。挑戦して良かったと思っています。

愛する人を亡くして後悔を感じない人はいないと思います。愛する人が病を抱え、自分なりに一生懸命に伴走したつもりだけれど、もっとああすれば良かったとかあんなことはしなければ良かったとか。もっとこんな言葉をかけてあげれば良かったとか、あんな言葉を口にしなければ良かったなど。様々な場面で後悔を感じるものです。

そしてもう一つ “悲しみは時が経っても消えない” ということも良くわかりました。

しかし残された人は、生ある限り前に進まなければいけないのだと思います。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈トキメキと共に〉

を2022年1月5日(水)に予定しています。