がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第41話 聞き上手な妻

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2014年2月の日記を読み返してみました。

 

2014年2月8日(土)の日記

・ママとふたりで那須の鷹の湯温泉にある「松川屋ホテル」に泊まった。大変良い温泉で大満足だった。
・ママの人懐っこさ、傾聴力はすごい。温泉に行くたびに、そこで出会った同宿のお客さんの “人生” を聞いて帰ってくる。愉快な人である。

 

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ホテルの温泉(内湯)

〈2014年の2月

当時の日記を読み返したりパソコンに保存されている写真を見ていると、忘れていたことをたくさん思い出します。この年の2月は温泉に行きました。妻の “かけ流し温泉” という希望する聞き、身体への負担がかからぬような近い場所を選んだ記憶があります。高速道路を出ると雪道でした。ホテルの温泉は湯量が豊富で、内湯の他に素敵な露天風呂があり大満足でした。のんびりと温泉に浸かって過ごしました。

妻は温泉から部屋に帰ってくると、浴場で出会った人から教わったことなどを話してくれました。その話を聞きながら私はお酒を飲みました。こういう時間を “まったりとした時間” というのでしょうか。何とも幸せな時でした。

妻は見るからに穏やかな感じの女性でした。話し方は、のんびりとした話し方でした。聞く時は、いつも驚いたり感心したりしながら聞いていました。もちろん否定的なことは言わない人でしたので、娘や息子たちは、学校の話・恋の話・自分の進路の話などを食事時などによく話していました。
そんな妻でしたので、浴場でご一緒したお客さんも温泉に浸かりながら色々とお話をしてくれたのだと思います。ありがたいことです。

 

〈人に感謝〉 

我が家族は、テレビをほとんど見ない家族でした。子供達は自室にいることはあまりなく食事をするテーブルの周りにいることが多かったように思います。今は、息子も娘も独立して住んでいますが、とても親切で優しくしてくれるのでありがたいです。

我が夫婦は、ご近所のご夫婦と仲の良い夫婦でした。 11月22日の “いい夫婦の日” には食事をしたり旅行に行ったりしていました。今も、お隣さんのお宅の庭での飲み会などに誘っていただき楽しんでいます。

ひとりになった今の私を支えてくれているのは、家族や親せき、ご近所さん、趣味の仲間たち、友達や職場の仲間たち、病院やスポーツジムの先生方です。この方々がいてくれるので何とか前向きに日々を過ごすことができています。

そしてこの “心強い人々” を私に贈ってくれたのは、聞き上手な妻だと思っています。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

今年もよろしくお願いします。

・次回の家族日記は

 〈塞翁が馬〉

を2022年1月15日(土)に予定しています。