第42話 塞翁が馬
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。
今日は、2014年3月の日記を読み返してみました。
2014年3月22日(土)の日記
・草津温泉郷の「松阪屋旅館」に宿泊した。温かみのある素晴らしい温泉宿だった。
・西の河原温泉、大滝の湯も最高だった。松むら饅頭を草津土産に買って帰る。
・帰りに「蓑郷梅園」の梅まつりを楽しんだ。茶屋のおばちゃんの話が良かった。日本全国、人情に溢れている。
〈2014年の3月〉
妻の3か月に1回実施する定期的な検査は、この頃も続いていました。毎回のことですが、検査日から検査結果を聞くまでの数日間は毎日が不安で、診察室の前で名前を呼ばれるのを待っている時の不安はピークに達していました。
そして、検査結果で「問題なし」という先生の言葉を聞くと、とても深い安堵な気持ちになり、帰りの車の中でふたりは、とても幸せな気持ちにあふれていました。
2月の那須温泉に続き、3月は草津温泉に行きました。源泉かけ流しで比較的近いことが訪問先を決めるキーワードでした。訪問先だけでなく、行き帰りの道中も楽しい時間でした。
〈日々の出来事の受け止め方・感じ方〉
中国のことわざに「人間万事、塞翁が馬」があります。国境近くに住む老人が主人公で、この老人の身には様々な出来事がおきます。人は生きている限り、様々な出来事に遭遇します。良い出来事もあれば、歓迎したくない出来事もあります。このことわざは、その様な出来事の受け止め方や感じ方を、この老人を介して教えてくれる故事だと思います。
我が身におきる様々な出来事は、自らの意思とは無関係におきてしまう様です。出来事の発生やその内容などは、自分の力では変えることは難しいのかもしれません。一方で出来事に対する受け止め方と感じ方は、自らの心の持ち方次第で変えることができるのかもしれません。
うれしい出来事がおきた時は、謙虚な気持ちで受け止めて浮かれることなく過ごし、歓迎したくない出来事がおきた時は、事実を正しく受け止めて落ち込み過ぎることなく過ごすという、この故事の様に過ごせたら、心健やかな日々になるのだと思います。この「がん患者の家族日記」を書くようになって、この思いは強くなってきました。
ところが超凡人の私です。理解は十分にしておりますが、日々の暮らしのなかでこの老人の様に、身におきた出来事を正しく受け止め冷静に感じながら日々を過ごす段階にはほど遠い状態です。到達することは無理にしても、もう少しだけ近づきたいと思い、これからも精進していきたいと思います。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記は
〈鉄道の人身事故〉
を2022年1月19日(水)に予定しています。