第67話 病院の行き帰り
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみま
今日は、2016年4月の日記を読み返してみました。
2016年4月2日(土)の日記
・午前中はJ大付属練馬病院へ行った。レントゲンの結果は「腸閉そくの心配はない」とのことだった。婦人科の受診を申し出る。
・午後はSクリニックへ行った。予約時間に余裕があったため光が丘公園、豊島園、仙川通り、桜台、学習院大学、椿山荘、市ヶ谷~飯田橋の外堀、靖国神社、九段下、皇居付近の桜を車の窓から眺めながら移動した。
・樹状細胞とリンパ球の投与を行った。
※ Sクリニック:樹状細胞ワクチンとリンパ球活性化の専門病院のこと。
〈2016年の4月〉
腹膜播種による腫瘍が肥大したことを知ってから丸1年が経過した頃でした。標準治療では抗がん剤による治療を実施するのですが副作用が強く実施できず、先進医療の陽子線治療と代替療法の樹状細胞ワクチンとリンパ球活性化治療を、漢方薬治療の他に実施してきました。
日記を読み返すと2016年4月2日は、主治医であるJ大付属練馬病院と樹状細胞とリンパ球治療を実施するSクリニックをハシゴしていました。そして桜の花で彩られていた東京の街を車中見物しながら移動していたと書かれています。
病院の行き帰りに一緒に眺めた桜の咲く東京の街。この日の景色はとても素敵で、今も良く覚えています。
〈美と哀を感じる桜の花〉
桜の花は、美しさとはかなさを感じる花だと思います。春以外の季節は、私たちに存在すら感じさせず静かに過ごしています。そして春になると一斉に咲きます。「こんなところにもいたのか」と思う場所で見事に花を咲かせ驚かせてくれます。そして、10日もするとヒラヒラと惜しまれながら見事に散っていきます。そして、再び翌年に向けて静かに準備を始めるのでしょう。
桜の花は、美しさと哀しさを感じさせてくれる花だと思います。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記/第68話は
〈十人十色で千変万化〉
を2022年4月16日(土)を予定しています。