がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第61話 母の老健入居

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2015年10月の日記を読み返してみました。

 

2015年10月8日(木)の日記

・今日、新宿のおばあちゃんが大宮にある老健施設に入居した。姉夫婦が何から何まで面倒をみてくれ、心から感謝している。
・11時30分を過ぎたころ、車で施設に向かう姉から携帯に電話があり会社近くのデニーズでランチ。何となく淋しそうにも見えたが、一人暮らしで何かあってからでは遅いわけで、これが一番良いのだと思う。

 ※ 新宿のおばあちゃん:一人暮らしの私の母のこと。(当時86歳)

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田んぼの隣りにある老健



〈2015年の10月

母が施設に入居した10月8日、私は都内の職場にいました。施設へ向かう母と姉夫婦と一緒にお昼ご飯を食べました。もう帰ることのない住み慣れた家を出る時の気持ち、数少なくなったご近所の同世代のお友達との別れ、86歳になっての新しい暮らしへの不安など、母の気持ちを想うと心が痛かったことを記憶しています。私はこの時55歳でした。
30歳後半から職場での責任が増すに従って仕事は益々忙しくなりました。50歳の時に妻のがんがわかりました。その一方で、一人暮らしの母の日常生活への不安も増えてきました。これらのこと以外にも、子供たちのことや自分自身の体調不良の事など、気になる事があり、身体も心も忙しく過ごしていました。

〈人生の繁閑期〉 
私は司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」と20歳の時に出会いました。大好きな本です。全8巻を何度も読みました。竜馬の一生を振り返る表現の中に、畳の上にまいた豆には密度の濃い所と薄い所があり、それと同じように竜馬の33年間の人生ものんびり過ごしている時期と忙しく過ごしている時期がある・・・という部分があります。

これは竜馬に限らず誰にでも共通することで、畳の上の豆の散らばり具合と同様に “幸せな出来事” と “幸せでない出来事” が起きるのには、繁閑期があるのでしょう。

人生を幸せだと思えるようになるために “幸せでない出来事” が起きた時の「受け身」を上手にできるようになりたいと思っています。上達できていないのですが・・・

                              

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈腹膜播種の拡大〉

を2022年3月26日(土)に予定しています。