第98話 夜中の血便
〈がん患者の家族の体験記〉
このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。
今日は、2018年11月の日記を読み返してみました。
2018年11月11日(日)の日記
・夜中の00:30、ママ血便。01:30、同様に血便。
・夜が明けて06:00、通常便に戻る。とても心配だ。
・心を落ち着けて考え行動しよう。 (11月12日06:20著)
〈2018年の11月〉
お弁当や総菜、ホットプレートの簡単料理、焼き鳥屋さんのお土産を一緒に食べる日々が続いていました。そして週に3回は、先生や看護師さんが訪問してくれました。11日の夜中、血便があり驚きました。私は不安な気持ちで一杯でした。しかし、私より妻の方が不安であるわけですから、私は精一杯の落ち着いたふりをしていた記憶があります。
翌日、看護師さんが訪問してくれました。私は昨夜の血便の写真をお見せしたり、最近の食事内容や過ごし方などについてお伝えしました。看護師さんは訪問診療をしていただいているT先生と電話で相談をして、経過観察をすることとなりました。
妻の体調不良は数日続き、昼間もソファで横になっていました。こんな時私は妻に向かって「大丈夫?」と声をかけそうになりますが、体調不良の時は、その様な言葉は口にしないで、ただ静かに寄添っているだけでした。それで精一杯でした。
〈普通であることの幸せ〉
元気な時は、トキメキを感じる様な事があると「幸せだ」と思い、何もないと物足りなく思ってしまうことが少なくありません。しかし、病気になると辛い症状のない普通の状態を「幸せだ」と思います。
よく聞く言葉に「一期一会」があります。自分の目の前にいる人との出会いを、一生に一度の出会いだと考えて接しなさいという教えの言葉だと思います。私は毎朝、目を覚まして思うことがあります。今日も目が覚めて良かったと・・・自分の目の前にいる自分との出会いも奇跡なのだと思います。
病気の妻と暮らしながら、ふたりで朝を迎えられることに心から感謝していました。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
・次回の家族日記/第99話は
〈ラストクリスマス〉
を2022年8月3日(水)を予定しています。