がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第90話 見ると見守る

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2018年3月の日記を読み返してみました。

 

2018年3月31日(土)の日記

・J大付属練馬病院で3月27日に実施したCT検査の結果を聞いた。
・左鼠径部の腫瘍は、骨盤底の播種病変が突出したものとのこと。
・骨盤底右側の播種病変は、石灰化を伴いやや縮小しているとのこと。
・腹部左上、横隔膜下腔両側の腫瘍はやや増大しているとのこと。
・へそ下部正中、右腸骨窩に4㎝位の腫瘤ありとのこと。
・肝臓、肺、縦隔、鎖骨上窩リンパ節への転移はなしとのこと。
・腹水、胸水はなしとのこと。

散歩途中で見た満開の梅(柳瀬川沿い)

〈2018年の3

妻の体調は、決して健やかな状態ではありませんでした。しかし妻の心は穏やかな時間が多かったように思います。小さなことに喜んだり、ちょっとしたことに笑ったりすることはありましたが怒ったりすることはありませんでした。ほんの少しだけ悲しそうな顔を見せることがあり、そんな時は私も悲しくなりました。

丸山ワクチン漢方薬による治療を続けながら、体調の落ち着いている時は、車で義父の入居する老健や義母の暮らす自宅を訪ねていました。梅が咲き始めると、自宅近くを流れる柳瀬川沿いにある農家さん宅の梅を見に散歩にも行きました。

〈見ることと見守ること

妻は腹膜播種による体調不良を少しだけ感じる様になってきました。その変化を最初に感じるのは妻本人です。変化があったことを妻はあまり口にしませんでした。私は、しばらくしてから変化に気がついたり、診察室で妻が先生に話すときに知ることもありました。

介護時短社員となり早い時間に帰宅して、少しでも体調が悪そうだと「大丈夫?」と質問したりしていました。もしかしたら私の言動は妻を苦しませていたかもしれません。妻は私に心配をかけない様に過ごそうと思っていたことでしょう。頑張って体調不良を乗り越えようとしている時に質問をされても答えようがなかったのだと思います。

自分以外の人の身体や心の変化を見ることは難しいことだと思います。仮に見ることができたとしても、見守ることはもっと難しいことだと思います。本当の優しさを身につけたいと思っています。

                               

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記/第91話は

 〈高熱の日々〉

を2022年7月6日(水)を予定しています。