がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第85話 妻の覚悟

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、大腸がん(横行結腸)・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2017年10月の日記を読み返してみました。

 

2017年10月19日(木)の日記

・今日は練馬区内の老健2カ所の見学へ行った。
・担当者との面談の時、ママは練馬の家から近い場所にある老健を希望していると語っていた。その理由は、自分よりおばあちゃんの方が長く生きると思うので、そうなった時に、ヘルパーさんと一緒にタクシーでおじいちゃんに会いに行くことができるから・・・と伝えていた。

・もともと痩せていた人なのに、病気で更に痩せてしまったママ。このような覚悟を抱いていることに驚いてしまった。

妻と眺めた懐かしい葉山の海岸

〈2017年の10

妻は義父母の将来をとても心配していました。7月の義父の入院(脳梗塞)をきっかけに退院後の義父の病状のこと、障害のある義母の日常生活のことを気にしていました。私たちは練馬区の地図に義父母の自宅と老健と特養の場所にシールを貼り、夏から秋にかけてたくさんの施設を訪問しました。

治療を受けた病院からリハビリ病院へ転院していた義父は、おかげさまで11月に義父母宅から車で15分位の所にある老健に入居することができました。一安心した私達ですが、終身での入居が可能な特養探しは、この後もしばらく続きました。

〈妻の最期の大仕事

妻は、自分の残り時間を覚悟して、義父母の将来の生活基盤を準備していました。義父は2018年に老健から終身で暮らせる個室タイプの特養に移ることができました。更に2019年には義母も同じ特養に入居することができました。妻が亡くなる4ケ月前のことでした。

私と子供達は、妻の言葉や行動からたくさんのことを感じ学びました。困難に出会った時は他者の意見も参考にしながら、しっかりと自分で考えて自分で決めるという妻のDNAは、私と子供達にしっかりと伝わっていると思います。

覚悟のできた妻は、毎日の時間を大切に過ごしていました。義父母が暮らす場の準備を整えて、私と子供達に幸せに生きる心構えを伝えるという大仕事をやり遂げました。
そして2019年の夏に飛び立つことになります。

                              


お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記/第86話は

 〈介護時短社員〉

を2022年6月18日(土)を予定しています。