がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第35話 家族旅行/青森

〈がん患者の家族の体験記〉

このBLOGは、がん患者の家族の回想録です。2010年~2019年までの9年間、横行結腸がん・卵巣への転移・腹膜播種・肝臓への転移・腸閉塞でも、とても前向きに生き抜いた妻。患者家族である私が、その当時に書いた日記をもう一度読み返し、当時の患者家族の気持ちを振返ってみました。

今日は、2013年8月の日記を読み返してみました。

 

2013年8月12日(金)の日記

・B医大で実施した2度目の手術から今日で1年が経過した。
・すべてのものに感謝である。「ありがとう」
・これから先も、この幸せが続きます様に・・・

 ※ 2度目の手術:卵巣に転移した腫瘍の切除手術のこと。

 

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新青森駅で飲んだリンゴの缶ジュース

 

〈2013年の8月

2010年12月に横行結腸がんの手術を行い、2012年8月に卵巣に転移したがんの手術を実施し1年が経過した夏でした。
この年の3月に抗がん剤治療を中止し、O三敬病院の漢方薬治療を開始した年でした。J大付属練馬病院での定期的な経過観察は3ケ月毎を目安に継続していました。とてもありがたいことに「再発・転移なし」の検査結果が続きました。

そんなこともあり、青森への旅行をしました。新幹線とレンタカーを利用して、白神山地不老不死温泉奥入瀬渓谷や十和田湖、八戸などを巡る、西から東への「青森横断の旅」となりました。

こうして振返ってみると、今も記憶に残っていることは・・・
新青森駅で2種類のりんごの缶ジュースを買って4人で飲み比べたこと。宿泊したグランメール山海荘で聞いた三味線の生演奏の音色がすばらしかったこと。車で不老不死温泉に入ろうとしたら、道路の真ん中に鹿の親子がいて目が合ったこと。十和田湖から八戸に向かっていたら “キリストの墓” の標識があり寄り道したこと。八食センターでたくさんの食材が並んでいて、イートインで何を食べるか迷ったこと。この様なことばかりです。
有名な観光地の風物よりも、家族で過ごした時の会話や行動が心に残っています。

家族での一緒の時間。これを大切に過ごしたいと思います。

 

〈いま頃になって、そしてこれからも〉 

ひとりで暮らすようになって3回目の年末を迎えています。子供達、親戚、ご近所の皆さん、40年以上続く学生時代の仲間、会社員時代の仲間、妻がお世話になった先生方や患者会の方々、スポーツジムの先生など、たくさんの方々に私の身体と心は支えられて暮らしています。

おかげ様で、やっと最近になって安定した食事や適度な運動、買い物や家事などができるようになってきました(できるようになった気になってきました)。やればできるのなら、もっと早くからやっていれば、妻の身体や心の負担を軽減できたでしょうし喜んでもらえたのではと思います(反省しています)。

今の私がしたいことは、自分のことは自分でやり続けること、子供達家族と妻の両親を見守り続けることです。そうすることで、虚空と呼ばれるあちらの世界にいる妻に安心してもらいたいと思っています。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

・次回の家族日記は

 〈私の母のこと〉

を12月22日(水)に予定しています。