がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第30話 夫婦で畑作業

〈がん患者の家族の体験記〉

2021年12月1日です。今日は、2013年3月を振り返ってみました。

このBLOGは、2010年~2019年までの9年間、横行結腸がん・卵巣転移・腹膜播種・肝臓転移・腸閉塞でも前向きに生き抜いた妻と家族の日記です。

その当時に書いた日記を読み返しながら、患者家族の当時の気持ちを書いてみました。

 

2013年3月24日(日)の日記

・昨日に続き今朝もEをバイト先へ車で送り、帰りは都内の桜を見ながら帰宅した。街中のあちらこちらで桜が咲いていて、日本の美しさを感じた。
・家の掃除と昼寝をした後、ママと柳瀬川へ散歩に行った。見事に咲く桜並木を歩き金山公園でしだれ桜を見て、川の反対岸を歩いて帰った。
・これから先、何度も何度もこの景色を一緒に見たいと思う。

 ※ E:娘のこと(当時20歳)

 

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たくさんのことを学んだ “はじめての畑”



〈2013年の3月

桜が咲き始めた3月も、抗がん剤治療の副作用は続いていました。再発や転移を恐れて実施している抗がん剤治療ですが、副作用は本人はもちろんですが家族にとっても辛いものでした。抗がん剤治療をしなければ副作用から解放されるのですが、白血球が低下して抗がん剤治療が延期になると、再発や転移が起きるのではないかと言う不安が襲ってくるという日々でした。

定期的に実施する経過観察に加え、妻の体調に変化があることがわかるとM先生に報告をして必要な検査をしていました。その結果を聞くために病院を訪問する車の中や待合所での二人は、本当は心配で仕方がないのに、わざと病気とは関係ない話をしたりして気を紛らわせていることが多かったように思います。

通院日数が増すごとに、待合所には見覚えのある患者さんが増えてきました。ひとりで来院している人が多いように思いました。そんな中、私たちは一緒に通えることができました。会社や職場の仲間には、感謝の気持ちでいっぱいでした。

 

〈ふたりで参加した畑作業〉 

ポストに一枚のチラシが入っていました。自宅から10分位の農家さん(80歳代)が畑の一部と種や苗、農機具などを提供してくれ指導もしてくれるという内容でした。
春には夏野菜を育て始め、その後は冬野菜を育てる。そして1月から3月までは畑を休める。無農薬にこだわり雑草取りや虫対策なども教わりました。

出来栄えが今一つの野菜があった時に、頑張ったけれど出来栄えが悪かったという内容のことを園主さんに伝えたところ、「頑張ったのは野菜ですよ。畑をやる人間は、土を耕し、水をやり、雑草や伸びすぎた葉をとり太陽が当たり易くするだけです」更にこう続けました。「育つための環境を作るんです。手抜きをするとこうなりますよ」

子育て、夫婦や職場の人間関係など・・・すべてに当てはまる重い言葉でした。

妻が申し込んだ夫婦での畑作業は、喜怒哀楽満載でとても楽しい時間でした。
この時間も命の時間を長くできた大切な出来事だと思っています。

                                 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

 次回の家族日記は
 〈友との別れ〉

を12月3日(金)に予定しています。