がん患者の家族日記

腹膜播種の妻と過ごした体験談

第5話 退院後の日々

〈がん患者の家族の体験記〉

今日は2021年8月14日です。今から10年前を思い出してみました。

横行結腸がん・卵巣転移・腹膜播種・肝臓転移・腸閉塞でも前向きに生き抜いた妻。

これは、病気の妻と一緒に過ごした9年間の「がん患者の家族日記」です。

当時の日記を読み返しながら、患者家族である当時の気持ちを書いてみました。

 

 

2011年1月13日(木)の日記

ママが無事に退院し帰宅した。良かった!!

リビングのストーブにあたりながらママは本を読んでいる。幸せである。50歳の私と48歳のママとふたり子供たち。これから先も健康を第一に家族で暖かい時間を過ごして生きていきたい。

趣味は「家族」である。

 

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自宅近くの柳瀬川

 

〈いつもの場所にいつもの人〉

入院時にふたりの子供たちと掲げた夢は「元気なママを家に連れて帰ること」でした。その夢を実現することができ、家族みんなで喜んでいました。
我が家の小さなリビングには、四つの椅子の揃った食卓があります。台所に近い椅子が妻の座る場所で、約1ケ月間は空席でした。今日からそこに座りいつもの景色が戻り、とても落ち着きました。

翌14日には修学旅行に行っていた娘も戻り、昔のドリフターズの番組ではありませんが「8時だよ、全員集合!」ってな感じで、トマト鍋や豚しゃぶなどを家族で食べる日が続いていました。 

 

〈日常生活を取り戻す奮闘〉

料理を作ることが大好きな妻が、退院から6日後の19日には、台所に立ってコロッケを作ってくれました。とても美味しいコロッケでした。またお休みをさせて頂いていた仕事にも2月1日から復帰すると言って、その準備を開始しました。小学校の事務員として短めの勤務時間ですが働かせて頂いていました。

この頃の日記には、日常生活を普通に過ごせるようになるために頑張っている妻のことがたくさん書かれていました。

1月23日は息子の誕生日ですが、この日は自宅近くを流れる柳瀬川へひとりで散歩に行くことができました。仕事から帰り夕食の時に散歩のことを聞き、うれしさと心配が交錯していたように思います。

家族がワンチームとなって乗り越えた年末年始ですが、もとの生活が戻り始めたことをとても嬉しく思い、感謝する2011年1月でした。

                                   

 

お読みいただきまして、ありがとうございます。

次回の家族日記は
〈日常の生活〉
を18日(水)に予定しています。